新かな配列練習道場

~単打最多の最凶かな配列を10本指で調教しよう~

タイピングと才能

タイピングと才能という、これまた地雷臭がぷんぷんする事について考えていきましょう。

 

才能論は才能を定義しようとしてまず躓くし、未定義のまま議論進めると炎上して終わるんですけどね。まぁここは誰も見ていないでしょうし後者にしましょう。

客観性のない個人的な経験・偏見・印象も混じりますがすみません。

 

前提として、タイピングはまず才能に左右されます。

なぜなら、高度に指を動かすのはスポーツや音楽と同じだからです。

 

とはいえスポーツや音楽だったら才能なければやらなきゃいいだけですよね。

ただこのご時世、タイピングできなければパソコンが使えないも同然で、

タイピングできないとほとんど誰しもが社会で生きていけません。残酷な世界です。

 

 

 

さて、タイピングの才能は以下の4つに大別できます。

①指の長さ・太さ・バランスはどうなのか。身体的な特徴からくるもの。

②指をどれくらい速く動かせるか。筋肉や腱のパフォーマンスによるもの。

③速い指を動きを脳でどれくらい制御できるか。認識の精度によるもの。

④指の独立。意外と奥が深く、肉体と脳の両方の問題のようです。

 

下にいくにつれ、生まれながらではなく後天的になんとかなりうる確率を増やしたつもりです。一つずつ見ていきましょう。

 

①身体的特徴

指は長めがよいです。日本人男性平均でも標準の19mmピッチキーボードはやや広いくらいです (外人標準なので)。あと細いほうがいいです。なぜならキーの打ち間違いが減るからです。さらに、バランスも大事で理想的には全指同じ長さでしょうか (無理)。ただ、特にQWERTYでは人差し指で遠いキーを押さなくてはいけないので人差し指は特に長いほうがよいです。

まじで指をボキボキ鳴らすのはやめよう。絶対に変に関節太くなり指が短くなりタイピングに不利になります (根拠はよく知らない)。幼少期は本当に気を付けてください。もうどうしようもない人も多いかもしれないけど、自分のお子さんには気をつけましょう。私は右人差し指を鳴らす癖があったようで詰んでます。

この例はともかく、指の長さって実際どれほど後天的に変わりうるものなんでしょうかね?私の話になっちゃいますが実は8歳からフルートやっていて、そのせいで左薬指が長くなり、左人差し指の付け根が柔らかく外に開き、右親指が若干外側に反った(最近気づいた) と考えています。フルートって右側に横に構えるんですけどキーは一列で並んでいるので、右手は自然体でいられるのに対し薬指が遠く (小指は無理なので元からレバーが飛び出てる)  左手が大変です。一方で右親指が重要な支点で、楽器重量の大半を右親指だけで受け持っており、外側に曲がっても不思議ではないです。フルートを吹きやすいように指の構造が骨格から最適化されたと考えられますが、多分成人してからだとこの変化はなかったでしょうね。

あと、指の長さが才能にカウントされてしまうのは、キーボードメーカーがコンパクトキーボードの開発を怠っているせいです。もし指が短くてもキーピッチが19mm未満のもので相性が良いキーボードに出会えればこの限りではないです。この件はメーカーには全く期待できないので (個人差に応じて多種多様なキーボード販売したってお金にならないし、プラスチックはオーダーメイドと相性が悪い、とはいえ3Dプリンタの時代なら変わるか・・?)、近年では自作キーボードといった自分の手にあったキーボード開発が盛んに行われているので、さらに発展してコンパクトキーボードの選択肢のバリエーションが増えるといいですね。

 

②肉体能力

意外に思われるかもしれませんが指がどれほど速く動かせるかは強く才能で決まっていて、割と早期に伸び悩む要素です。指は単純に筋トレすればいい訳じゃなく、必要以上の酷使は腱鞘炎になってしまうし、そもそもタイピングではむしろ脱力が大事でマッチョが有利という訳ではないのが難しいところ。タイピング練習を一から始めればもちろんだんだん速く打てるようになりますが、それは配列を覚えたからにすぎず、配列をマスターした後は指を運動性が一番のネックとなります。この感覚は練習開始後、長くても半年以内に来ます。私は8歳から楽器をやっててアホみたいに指を動かしてきたつもりですが、楽器だとトリルが非常に遅く、タイピングでも指の速度はタイパーの中でかなり遅いほうです。タイプウェルだとトップスピードは才能、なんてことをよく聞きます。またタイプウェルを更新しても「運指最適化等のタイピング技術が上達しただけで指の運動性自体は昔とほとんど変わってない」というような証言もちらちら見ます (引用省略)。

なにより自分のタイピング経験がこれを物語っているのですよね。。八年前にタイプウェル常用Rで指破壊してもXBが限界でした (まぁ練習も下手でしたが、それでもXSあたりが限界と思われます)。いろは坂配列は「指の運動性は才能なので、限られた運動性で速く入力するには打鍵数を減らすしかない」と考えて作られたものです。こちらは練習一年目で常用ZJ出てます。

QWERTYで例を挙げると、KUの打ちやすさは指の長さのバランスで決まります。KIは指の運動性で決まります。わかりやすいですね。KUだったらCUで代替すると良いとかいいますが万能ではなく、CUTEなどで結局人差し指の運動性がネックになってしまいます。

あと、もともとローマ字入力は入力方法が単純なわりに打鍵数が多いので、配列のマスターが早い代わりに指の限界により伸び悩みがちです。e-typingのスコアでタイパー見習いの方が400までは (若ければ) すいっと成長しますが、そこから450に行くにかけて結構伸び悩んで、かなり努力して500に到達する、のようなものが典型ではないでしょうか (自分もそうです)。600からは才能、というようなアンケートもとったことがありますし (https://twitter.com/mentype2/status/1139927163333857281) 、QWERTYローマ字では的を射ていると思います (ローマ字の原理的にアルペジオロールオーバーが増やせず、「人◯人」のような一つ飛ばしの人差し指連続使用が避けられず、運動性がネックとなる。)

 

③認識能力

いくら指を速く動かせても、それらを脳で制御できないと正確なタイピングはできません。なかなか実感しにくいのですが、たとえば単純な交互打鍵を高速で繰り返したとき、一定の速度以上で片方がもう片方を追い越したりしてもたつくと思いますが、これは打鍵に対して脳の認識が追いついてない事が理由です。あと慌てて速くタイピングするいわゆる"乱打"をすると、ミスしたところが分からない・そもそもミスに気づけない事があると思います。これは指の運動が脳認識を超えている例でしょうね。認識が追いついていればミスをしてもすぐに気付けますし、何文字ミスって何回BSを押せばいいか分かるので効率的に修正ができます (タイプウェルと実用入力の速度が割と相関しない理由の一つ)。

指の把握だけではなく、時間把握とも関係しそうです。人によってそもそも時間の流れる速度って違うらしいですよね? 巷の本には体重の4分の1乗に比例して時間が長くなる (= 時間の濃度が薄まり時間が速く感じる) とか書いてありましたが (「ゾウの時間ネズミの時間」)、まあたしかに幼少期よりも大人になってからの時の流れは速いですよね。。(別の要因のほうが大きそうだが)。主観時間が遅い人のほうが速い動きを遅く感じることができるので、10打/秒以上の高速域の打鍵でも楽に認識できそうですね (止まってみえるぜ・・・というやつですね)。

別な例では、活動している昼よりは寝入り前のほうが脳がぼうっとしてて時間が速く感じませんか?同じ音楽を聴くとわかりやすいです。わりと普通のテンポの曲を寝入り前に聴くとやたら速く感じますよ。主観時間の違いを気軽に実感できます。

その他に認識というと文字の認識だったり、いわゆる「先読み」による脳内打鍵組み立てのコツとかも含まれそうですが、この辺はあまり才能に関係あると実感したことはないです。本当は大いに才能関係しているのでしょうが、他の要素が大きすぎて目立ってませんね。

 

④指の独立

これ、表面上は指の能力なのですが②とは分けました。意外と複雑のようですね。以下の記事が参考になりました。 www.piano.or.jp

「指同士が独立に動かない原因は、筋肉同士が独立していないだけではなく、脳の細胞同士も独立していない」というのは考えたことはなかったですね。言われてみればそうかぁといったところです。

②と分けたもうひとつの理由で、私自身が②の才能は無いが④はできているという事です。ただ薬指を動かすと上流側の手首から肘にかけての筋肉が相当動き、筋肉によってなんとか他の指が暴れるのを抑えている感じがします (意味不明)。指は独立に動かせるが指自身が文字通り独立してるというわけではなく、ある指を動かすとき他の指が動かないように筋肉を発達させ使っているだけです (記事にも似たようなこと書いてありますね)。脳の使う領域の変化。。は実感はできませんが、まぁそうなのかもしれません。

指の独立、というか薬指小指の強化を意識して始めたのは高校生の頃で、その時点でも普通に効果あったので才能の中では比較的後天的にどうにかなるイメージ。どういう訓練したかっていうと、まぁ四六時中薬指を動かしたり、風呂で両手の指先を付けてぐるぐる回すアレを特訓したり、薬指小指親指で服着替えたり消しゴムを使ったりした記憶があります。今でも指動かす癖は抜けてなくて、例えば自転車乗ってるときはハンドル握りながら定期的に薬指がぴくぴくしてます (薬指を他の指より上げる特訓)。

ただ記事にあるように生まれながらに腱が繋がっているというケースもあるようなので個人差はかなりありそうです。

 

 

 

こんなところでしょうか。

もっというと「指を動かすこと自体が楽しいと思えること」も大きな才能かもしれません。この能力があるとたいていの練習は苦ではなくなるので、いろいろずるいです。

 

とはいえ、じゃぁタイピング才能ある人はよかったですね~で終わる話ではありません。タイピングは才能の有無を問わず誰しもが一定水準以上の技術を身に付ける必要があります。たとえば指の才能あるけど国語力ない人間と、指動かすのは苦手だけど国語力はすごい人ではどちらが社会貢献に寄与しそうか?圧倒的に後者です。ある才能が無いということは別の才能に脳細胞が割当られている筈だ、という仮説に基づけば、むしろタイピングの才能がない人のほうが社会にとって有用な才能を持っていそうですね。

したがってタイピングに自信無い人にいかにして快適な日本語入力法を提供するか?が重要だと考えられます。配列界ではこの問題に挑戦してる方が多い印象です。特に成功してると思われるのは薙刀式・かわせみ配列・親指シフト入力のように、学習コストを抑えて同時打鍵を積極的に活用することで指に特別な能力が無くとも速く入力できるような配慮がなされている配列群だと思われます (少なくともQWERTYタイピングが苦手な層の為に設計された配列という認識)。少しでもQWERTYをしぶしぶ使う人々が減ればいいですね。

 

いろは坂配列は②以外の才能は全部要求するかもしれません。QWERTYはまぁまぁ打てるんだけどもっと上に行きたい人向けの配列であり、マニア向けで需要は低いかもしれませんね。ただ単打が多いから打鍵速度自体はいらないので、意外と楽かもしれませんが、いずれにせよ万人が使えるとはとてもいえないです。

それとは別に万人向けの配列として「継配列」も作りましたので、よければ見てください。もっと宣伝したいが検証するといろは坂を忘れてしまうので難しい。。

tsugihairetsu.hatenablog.com