いろは坂配列練習道場

~単打最多の最凶かな配列を10本指で調教しよう~

自分から見た景色

大岡さんが俯瞰された興味深い記事を書いてます。

oookaworks.seesaa.net

 

記事の主旨には100%賛同だが、ただいつもの事ながら自分とはずいぶん立ち位置が違うなぁと実感。ライティングのプロであるライターと、タイピングの(自称)プロであるタイパーでは見えている世界が全く違うのは当たり前ではあり、まぁ直接的な社会貢献度的に前者のほうが圧倒的に崇高なのだが失礼を承知でとりあえずフラットに考えさせていただく。

プロは他人ができないことを当たり前のように行えるからこそプロなのだが、一般人から見てプロ集団は何かしらの学習コストを低く見積もる。タイパーはタイピングソフトだけで一日5万打鍵は当たり前、伸び悩めば10万打鍵すればいいと思ってる。ライターなら文の発想力、思考と言語のリンク速度が尋常でなく優れており、息を吐くように文を生み出せるのだろう。タイパーはタイピングが楽しくて仕方ないし、ライターは創作活動が楽しくて仕方がない筈で、これらをコストと考えることはそれぞれしない筈だ。

ただふつうの人はタイピング練習がそんな楽しいと思わないし、頭の中からそんなぽんぽん文が出てきて組み立てられるわけではない。例えばタイパーの私はパソコン立ち上げたらとりあえず何も考えずタイプウェルを起動してタイピング練習を始めるが、一方で今こうやってブログ更新するためにエディタを開いて文章を書こうとする事自体がかなりコストであり精神的に辛い。

つまり一般層からみてライターもタイパーもちょいと極端すぎると思うので、双方の意見を足して2で割ったような結論が世の中の妥協解になるのではないかなどと思い、なにはさておき自分も今の立ち位置から見て諸々の入力ツールがどう見えるのか整理したくなったのでしてみようというわけだ。

  

  

手書き

実は私はQWERTYアンチならぬ、手書きアンチである。手首が不器用なのか知らんが全く速く書けず自分にとっては苦痛でしかない。ひらがなは2字/秒で漢字は1秒以上かかることもあるから300字/10分とかだろう。ゆっくり書く分には脳と直接リンクする感じはあって嫌いではないし、漢字を書き順守って丁寧に書く事は好きだ (幼稚園児の頃から漢字辞典を眺めるのが好きで鬱という漢字を書けた笑)。とはいえ創作活動をわざわざ手書きでしたいとは全く思わない。自分の経験ではINPUT作業 (というかお勉強) では有用だがOUTPUTには向かない。あと机に紙置いて下向いて書くの首痛くて無理 (カメラで手元を撮って目の前のモニターを見るようにすればブラインドライティング?できるかもしれないが)。

仕事でも (スマホ出すわけにはいかないので) 手書きでメモしなければいけない場面がちょくちょくあるが、相当精神的なネックになってる。

ちなみに英語や数学はこの限りではなく、アルファベットや数字は画数が少ないので手書きが有効と思ってる。英単語はやはり初学者は書いて覚えるのが王道だろう。数式変形をパソコンで行う方法が手近にないし数学では紙のペンからなかなか脱却できないと考えられる。

日本語も漢字がなければ私でも速く書けるかもしれない。手書きが得意な人は漢字を可読な範囲でうまく崩すのが上手いが、ルールわからないし真似できない。というか崩さないと速く書けないなら崩し方を小学校で教えてほしい。ひらがなだけの韓国が羨ましい。

小学校高学年のころホームページを作り日記をQWERTYで書いたが、そしたら親にあんた文章書けたの!?と驚かれた。国語の成績がめちゃ悪かったのもあるが、そこまで手書き文化が自分の創作活動を妨害していたのだろう。ちゃんと国語に真面目に学習すれば手書きができるようになったんじゃないの?とも思うが、それはちゃんと練習すれば誰でもQWERTY打てるようになるんじゃないの?と同じ次元の疑問なので考えないでおく (そもそも練習する気にならないほどツールが気に食わないということ)。

 

 

QWERTY

随所で言及してるけど、なんかかんだ否定し切れない。そもそもローマ字が存在しなかった時代の配列なのに、現代のローマ字入力で人類が20打鍵/秒を出せるのは凄いと思う (Dvorak親指シフトなどではそれが無理だと思う)。フリックよりは速く打てるし手近なツールとしては悪くない。

タイピングが好きな学生ならe-typingでさらっとスコア400 (実用で130CPMくらいのイメージ) を出す (タイパーでなくてもこの辺はちょくちょく見かける)。サイトの平均は200ちょいらしく、まぁこれでも日常生活困らないと思う。

でもコツを掴む人と掴まない人で差が激しい。一つは年齢。楽器の例から経験的に知られているが、成人してから指の運動性の成長速度が異常なまでにネックになるのはもはや事実だろう。私は20手前まで楽器を習っていたが、先生も大人になると自分も生徒もとにかく指が動かなくなる事を嘆いていた。タイピングのトップ集団であるタイパーはそもそも若い学生が主体となって形成されたから、ここでは成人以降の指の劣化はそもそも想像外の事象であり、QWERTY打てない=練習不足というようなQWERTY原理主義を生んでしまったと考えられる。今は残念ながらタイパーの多くが引退してしまっているが、それはQWERTYが加齢に対して極めて脆弱だからだろう (学生主体のタイパー文化を築き上げた偉人の多くは今や30歳以上だ)。とはいえ繰り返しになるが、指の運動性があったところで速く打てないDvorak (交互打鍵主体) や親指シフト (同時打鍵主体) と比べてそのようなネックがないQWERTYは特別だし、ローマ字入力QWERTY以上の速度を出せる配列が (なぜか) 登場していないのも大変面白い。

交互打鍵が少ない特徴を生かせない限り、QWERTYの良さは永遠に分からない。平たく言うと指先の器用さなのだろうか。アニメとかに出てくる、頭脳派キャラのタイピングシーン (長門有希が究極例)、あんなイメージがQWERTYと合っている。乱打正義のタイプウェルが流行ったのは、絵に描いたような超タイピング速い人のイメージを自分が再現できるからだろう。

私は指先は器用だが手首は不器用なので、手書きよりタイピングのほうが肌に合う、ということかもしれない。

もう一点よくいわれているのはQWERTYでは教科書通りのタイピングが身につかない事。そもそも標準運指が最適解ではないのが異常で、実際身の回りで標準運指を守ってる人は見た事ない。人差し指タイピングもおじさん層にはちょくちょく居る。一方でどんな運指でも一応打ててしまうのはメリットともみなせる。マニュアルを読めないと使えない配列はデファクトには向いてない。フリックのように誰しもが手探りで入力方法を身につけられるものが望ましい。その点、QWERTYはある意味うまく、その人にあった運指で使われているなぁと思う。もちろん客観的にそれが効率的なのかは分からないが、少なくとも本人たちはそこまで不満に思ってないようである。

新配列だと標準運指以外で使おうと思わないし、そういうトライをしてる人を見たことない。もともと新配列に手を出す人はホームポジションの概念を知ってるに決まっているから当たり前だが、配列自身がホームポジションを前提にして設計されているという点もある。たとえばDVORAK配列のような行段左右分離では母音が一列に並んでいるところに4本指置くのが効率良いのは一目瞭然であるが、それは小指使用を強制してしまう面がある。また極端な例だが同時打鍵配列では一本指タイピングはできない。一方でQWERTYはどんな運指でもまぁ打ててしまう。特に片手二本指タイピングで子音→母音と打てるので、これが運指の柔軟性の基だと思う。

 

 

いろは坂配列

私にとって妥当解だけれど万人向けではない。以上w

同指打鍵速度は才能で決まり、高速同時打鍵はそれはそれで才能が必要と思っているので、同時打鍵に頼らずに打鍵数を減らすため単打をなるだけ増やし、特に段越えを抑えつつ小指薬指を活用しロールオーバーを積極的に利用しようとしたらこうなりました、ということ。

ここで私が度外視したのは練習量コストだ。巷では4段配列は嫌われ、 たしかに手を置いて打てないというのはデメリットだが、ブラインドタッチの空間把握については練習すれば誰でも会得できると思っている。開くホームポジションはたしかに疲れるかもしれないが、数多くのキーを網羅するには合理的な構えで (左上右上の2キー以外はホムポから第二隣接以内に納まる)、単打を増やせるという最大のメリットからすれば独自ホムポのデメリットは微々たるものである。JISかなのように右小指に3列12キーを担当させるよりはるかにマシである。構えの違和感は慣れ次第であるが、打鍵速度は練習しても伸びないという前提があるのでこうなってる。

まぁ練習コストを度外視した良い例ですね。デファクトはおろか、他人に勧める気もない (JISかなできる人には勧めたいが、中指と薬指の間を開けられるかどうかがポイントかもしれない)。

実はわたしがタイパーとしてまともに速く打てたのは英語QWERTYだけ。うまく伝えられないが英語QWERTYにはかなり独特な世界があって、ローマ字は微妙なのに英語だけスコアが良いタイパーは私だけではない。英語QWERTYロールオーバー率が高く段越えが少なく運指最適化の幅が広い事が特徴だが、これをかな入力で実現しようとしたのがいろは坂配列かもしれない。つまりいろは坂配列にはQWERTYを真似ている点があって、QWERTYをある程度打てる人向けであり、一方で新配列はQWERTYアンチの為にあるものなので、いろは坂配列の出番は無いという訳ですね笑

 

 

JISかな入力

私はJISかな入力を7年間、実用で使い続けた。一応常用ZJです (ただし一回だけしか出してない...)。そしてタイプウェルの全一の人のスコアから判断すると圧倒的にQWERTYローマ字より速く、タイパー界の頂点に立つ配列。

その上でいいますがやっぱJISかなは厳しいですね。

JISかな入力の配列の工夫もまぁ無いわけではなく、濁点はほとんど交互打鍵、連接になりにくい傾向がある同じ行の文字は縦に並んでおり (タ行が典型)、同指打鍵を一応抑えている。ア行ヤ行を横一列で並べてるのも一応メリットなのかな。とはいえ、濁点の位置で例示されるように1gram分布は酷いものであり、2gram以降は考える気もしない (とはいえ、タイプウェル的にはワード選定さえすれば280文字を超速く打てるので、常用語の最低限の打ちやすさはあると思う)。

ただしJISかなのコンセプトのシンプルさは素晴らしい。ローマ字を覚える必要がなく、さらにシフト機構が単純だからキーボードの印字さえ見れば原理的に誰でも使える、というメリットは唯一無二とすら思う。だからJISかな入力で単純にキーを入れ替えただけの配列が相当強力だと思うのだけど。。配列屋はマニアが多いのでさらに一工夫二工夫してしまいシンプルさは損なわれる。その結果、JISかなの単純キー入れ替え配列はまだ登場していないんじゃないだろうか。それは4段配列が嫌われているのも大きいが、手首浮かすスタイルの人なら慣れられると考えている。

JISかな入力の最大の問題点は、実質的な配列の開発者がアメリカ人である点である。本当に信じられない。山下芳太郎が当初考案した改良カナ配列はなかなかに悪くないものだったのに、スティックニーに相談した際に同じ行の文字はまとめたほうが良い、という前提でマウントされて改悪され、打鍵効率が悪く1gram分布がでたらめな今の原型となった。山下芳太郎自身が病気がちであったり、その他の大人の事情があったのだろうけれど残念でならない。その後も複数回JISかな配列は修正されているのに骨格がほとんど変わってないので笑える。まったく最適でない極値点からなかなか抜け出せない日本人の悪いところですね (こういうのナッシュ均衡っていうらしいですね最近覚えました)。

まぁとはいえ、JISかな入力があるからこそ"かな入力"という入力手法が現代で人権があり、この概念をいちいち人々に説明せずに済んでいるので、無いよりは全然マシだ。その点で感謝はしておこう。

 

 

フリック入力

スマホの万人向けの最初にして至高のエンドゲーム配列ですね。今では私も愛用しています。並び順がシンプルで打ちやすさとか考慮されてないだろうけれど、LINEだけではなくブログ書く程度の事なら難なくできる。片手でも両手でも打てる柔軟性もある。幅広い層に受け入れられているし、APPLE凄い。

まぁその前の時代がガラケー打ちだったので、そこからフリック入力を知れば天と地の差ですよね。

フリックでもちゃんと並び順考えれば普通にキーボード配列並の速度を出せてしまいそうな気がするが、今の美しい並び順を崩すことになり学習コストが跳ね上がるので、この試みは流行らないだろう。

 

 

NICOLA親指シフト

脳内発声あるなら50字/分程度に達するには最適なツールだと思ってる。私は一週間しか触ってないけど (しかも自分でNICOLAを改変した雀躍配列)、それでもタイプウェル150秒にすぐ到達したのはなかなかに凄いし (他の配列ではそもそも400秒以内で打ち切るのに1週間かかったりする)、低速なのに打ってて楽しく、確かに独特の面白さがあると感じた。また連続シフトが無く、同時打鍵シフトが親指に集中していることで判定問題に悩まされず、安心設計と感じた。一方でその安心さは速度の天井が低いこととも関係していて、一定以上速度を上げると急に不快になりそうだし、速度に取り柄のない親指シフターがあえて閉鎖的なコミュニティを形成しているのは納得できる (楽さや安心さを客観的に数値化する理論がないので、速度でマウントされると反論できない。悪いのは理論がないせいであって別にシフターが悪いわけではない)。練習すれば100字/分はいけるとは思うが、そこに到達するには他の配列のほうが早そう。

逆手シフトと同手シフトのごっちゃはあまり分からなかったが、もう少し速くなれば混同しうるかもしれない。また濁音を清音に誤打したとき気づきにくいのが面倒らしく、想像はできる。

改良親指シフト入力の代表が飛鳥カナ配列であるが、右利きが多いからって右手重視にする論理が私にはよく分からない。指先の動かしやすさは利き手と必ずしも一致しないと思う (利き手が有利なのは指先ではなく手首の精密な可動性かと思う)。実際私は右利きだが指が動くのは左手のほうである。あと清濁完全別置はタイパーの私でも学習コスト高すぎると感じてやる気しない。連続シフトが有効なせいで、速くなると親指を上げるタイミングが厳しいらしい (想像はできる)。ただ使いこなしている熱心な愛好家も一定数いらっしゃるので、一般向けでもタイパー向けでもなく、マニア向けの配列という認識。少なくともニコラ勢に飛鳥配列のほうが効率良いですよ!って気軽に勧められるようなものには思えない。

 

 

新JIS

あまり経験ないから多言しないけれど、個人的にはセンター連続シフトが微妙に難しく思え、あまり試用への腰が上がらない。連続シフトを有効活用しないと実用的には芽がないと思っているが、今から打つ文字列が連続シフト可能かどうかいちいち判断しなければならないのでその学習コストが重い。上級者は連続シフトを使えばいいけれど、初学者にとっては非連続シフトでもそこそこ快適に打てるべき。親指シフトのように同時打鍵化すれば良いのかなぁ。

あと左右の親指の使い分け方法がよくわからない。"適当"が最もよさそうなのだが、その適当ですらよくわからない。非連続シフトならシフト文字は全部逆手!みたいにルールを設ければ (打鍵感は必ずしも最適ではないかもしれないけど) 脳には優しい。とはいえ連続シフトを積極利用すると全部逆手とかは無理だ。あとキーによって同手・逆手どちらが打ちやすいかが違う気がする (中指薬指のホムポなら同手が打ちやすい)。しかしこれもキーによって同手・逆手のルールを設けてしまうと、そこまでするなら親指シフトにしたほうが良いのではないかとも思う。

スペースの打ち方も微妙に難しく、US配列のようにスペース一つしか無いと連続シフト意識してスペースを押しっぱなしだったのに、それに気づかずもう片方の親指でスペースを打とうとしてミスる。スペースを押す指が左右いつも違うのも違和感がある。片方の親指だけに制限すると、どうしても打ちにくい同手シフトが出てしまう。

ようするにシフト・スペースの2つの機能を1キーor2キーで両親指に担当させるというのは私にとって高度な運指最適化の問題なのだ。しかも例えばQWERTYの運指最適化ならどの方法が打ちやすいかはっきりしているからまだ良いのだが、本当に逆手同手どっちでも打ちやすい場合どうしよう?っていちいち迷ってしまう。いろは坂配列の中指薬指の間のキーもまさかにそれで、本当にどちらでも良いですよというルールを設けているせいで今でも困っている。

センターシフトの有効活用法についてはもう少し様子見たいと思う。

 

  

行段左右分離

全く経験ないけど最近興味が出てきている。Dvorak配列、Astarte配列、Eucalyn配列が代表例と言って良いと思うけれど、デファクトにはやはりコレ系がよいんじゃないかなぁ。英語を打てなくてよいならけいならべ、カタナ式もよさそう。

一つポイントとなるのは右が母音なのが望ましいという事だと思う。多分、脳内発声がある人は多分、母音はどちらでも良いんだけど、脳内発声が無く字をそのまま字として受け取る人だと左母音は相当違和感あるはず。大岡さんもローマ字入力でも右母音ならそこまで悪くないという事を仰ってたと思う。

行段分離という点ではフリックもそうである。

上に挙げたDvorak配列、Astarte配列、Eucalyn配列がどれも左母音であるので、ここがひっかかってる。右母音系のものを調べて検証してみようかな。

   

 

ざっと以上のような事が今の私の立ち位置・眺めである。

私はタイパーなのであまり人々の参考にはならないかもしれないが、それにしてもライター代表の大岡さんとはだいぶ異なる結果に。。

私は出発地点が手書き×QWERTY○なので、それが全てなのかもしれない。とはいえ◎となるような新しい入力技術を求めている点は同じなので、失礼かもしれないが自分との対比が非常に面白い。

 

手書きへの愛着や、ライターとタイパーという肩書きの違いもそりゃありますが、随所で話題になってる脳内発声の有無のほうが関係あるかもしれません。脳内発声が無いとローマ字やNICOLAが微妙というのは想像できます。逆に私がセンター連続シフトに妙な苦手意識があるのは脳内発声があるせいかもしれません。そうではなく単に私がイレギュラーなだけかもしれないが。

 

とはいえ、一周回って行段左右分離、特に左子音右母音系の汎用性と無難さはすごそうだなというのが一般向けの今の結論。アスリート的な意味での高みには行けないかもしれないけど、それはフリック入力も同じだし、プロのタイパーやライターからは若干不満があるかもしれないが一般向けとしてのデファクトスタンダードとしては尖ってないツールのほうがむしろよいだろう。