自作キーボードにはあまり興味なかったのだけれど
これはすごい。。めちゃくちゃほしい。
狭ピッチも特長だと思いますが、個人的な衝撃点は以下の二つ。
・人差し指 < 中指 = 薬指 > 小指のカラムスタッガードを初めてみた。
・コンパクトキーボードなのにちゃんと親指ゾーンは隔離されている。
配列界ではΩ型ホームポジションという言葉があり、配列によってはキーボードの3段目に中指・薬指を置く構えがよいとされています。指を置くキーをなぞるとΩに見えるからこう呼ばれているのだと思います。
たとえばQWERTY配列ではよく使うE、I、Oが3段目にある事から特にΩ型と相性が良いことが知られ、指を伸ばしてここち良さが150年前に設計されたにもかかわらずQWERTYが未だに生き残っている理由の一つと考えています。
カラムスタッガード配列があるのは知ってましたが、格子配列から中指と薬指が同じだけズレたような、Ω型ホームポジションに相当するシンプルな配列がなかったと思います。
記事では逆ハの字の構えについて言及がありますが、ふつうの構えだとしても人間の指の長さは人差し指 << 中指 ≧ 薬指 >> 小指なので、普及しているカラムスタッガードは中途半端にズレているだけにみえて物足りないです。
一体型キーボードでは肩甲骨をあけると必然と逆ハの字の構えになると思いますが、逆ハの字ではふつうのキーボードだと薬指をさらに曲げなくてはならず辛いんですよね。逆にこれさえ解消できれば、一体型キーボードでも楽に打てるようになると思われます。
また人によって指の長さが違うからややこしくなるところを、綺麗に中指と薬指だけ1/2ズレと割り切っているところも美しいです。
もちろん各人の指の長さに応じてズレを最適化できれば理想ですが、それだと個人用として特化されすぎで、またズレが数学的に中途半端になるため空間把握が難しくなりそうです。
ブラインドタッチはキーボードの物理配列が数学的にシンプルなほど空間把握がしやすく有利と考えられます。もっとも美しい格子配列から対称性を最小限崩した代わりに絶妙な快適さを手に入れうるのが中指・薬指1/2ズレと思われます。
もうひとつの興味は、親指ゾーンを下に隔離していることです。
19mmは日本人の手には大きすぎるのに何故かコンパクトキーボードが流行らない理由の一つに、単純にキーピッチを縮めると親指が苦しくなるから、という事があると思います。なのでコンパクトキーボードでは親指ゾーンとそれ以外を離す必要があると思っていて、でもそれはもうJISキーボードの範疇を超えていて自作キーボードの世界でしかできないのでしょう。
19mmの時点でも親指が苦しいのもあり、既に親指ゾーンが隔離されたものはいろいろあると思いますが、コンパクトキーボードでは親指ゾーンの隔離 = キーボードの肥大化となり、一見コンセプトに反する?のであまりなされてこなかったように思います。ただ、この配慮はコンパクトキーボードでこそ重要だと思います。
配列屋の事情ですが、個人的には三段目に中指と薬指を置くΩ型のほうが絶対に性能が良いと思っていて、しかしΩ型にすると3段配列だと利用可能キーが減ります。中指と薬指担当の最下段が利用できなくなるためです。たとえばローマ字入力で小指を使わないでΩ型で設計しようとすると、絶妙にキーが足りなくなります。なので配列は通常ホムポ前提で作っておいてΩ型が好きな人は物理で解決するのが良いと思ってました。中指がズレてる縦ズレキーボードは多いのに薬指はそうでもないものが多いので、今後中指・薬指統一ズレのキーボードが増えてくれることに期待です。
15×14mmはさすがに小さ過ぎではないかなどと不安もありますが、ぜひ触ってみたいですね。ハンダ付けの練習しておかなきゃ。。
----追記----
大岡さんの記事
たしかに中指が1U離れると使いづらそうですね。Ω型ポジションをそのまま物理にもってくるとΩ型ポジションの配列設計が難しいのと同様のデメリットが物理でも現れるということでしょう。
その点で1/2Uズレ、コンパクトキーボードというのは期待できますね。
人指し指・中指の連接の高低差は人によってどこまで許容できるか、というのも気になっていた。格子配列QWERTYでNIの2U縦ズレ連接は打ちやすいと思ってたけれど、それは自分の構えが一体型キーボードに対してハの字で構えているから中指が上段に届きやすいからっぽい。正面から構えたり、分離キーボードをハの字においたら確かに微妙だこれ。3/2U縦ズレなら正面でも許されるかな。
中指が人差し指ゾーンに触れると違和感というのは想像していなかったなぁ。こういう使用感のレビューは本当に参考になりますね。