新かな配列練習道場

~単打最多の最凶かな配列を10本指で調教しよう~

効率とロマン

よくありそうで何にでも当てはめて論ぜそうなやつ。

 

ぱっと思いつくのはゲームの楽しみ方ですね。エンジョイ勢とガチ勢という枠組みがありますが、エンジョイ勢を自称するグループの中では気分転換程度にしかゲームをしない本当のエンジョイ勢と、本気でゲームを楽しんでいるものの効率ではなくロマンや拘りを優先するエンジョイガチ勢とがあります。特に対人ゲームだとエンジョイガチ勢は勝率は必ずしも高くないのでガチ勢を名乗る事は憚られますが、ゲームに対する真剣度でいえば十分ガチ勢ですね。ただ本当のガチ勢ではゲームの上達こそが目的となっており、彼らの前では勝てなくても自分が楽しければいいというような論理は害とみなされます。

 

サラリーマンでもそうかもしれません。仕事で自分を削るようにストイックになれる人と、給料もらえて家族と幸せであれば仕事はほどほどでいいやという二つのグループにどうしても分かれます。どちらが効率派かというとちょっと難しくて、仕事の効率ならそりゃ前者ですが、家族をもっとも効率良く幸せになるとするなら後者です。で、今の時代は前者のような生き方は中年以降に体調崩したり家族サービスがおろそかになって不仲になったり子供の発育にも悪影響かもで結局総合的に効率悪いとされるから、前者のほうが実はロマン派なのかもしれません。ワークライフバランスだとかホワイト企業だとか言われるようになり、エンジョイ勢でも給料をもらえる時代になりました。良くも悪くも。

さて、配列開発というのはQWERTYの否定から入るから、もっぱら効率派の世界と思いきや実はそうでもないですね。

 

わかりやすい例がいろは坂配列でしょう。単打を限界まで増やすというロマン派です。意外と効率も良いですよと言いたいところですけれど、小指と薬指を他の指と等価に動かせというのが酷であるのは事実です。単打特化では打鍵速度は必要ないから別にそこまで大変じゃない気もしますが、そもそも人々は試用する気にすらならないでしょう。

ピアノを弾けない人はピアノ弾ける人の脳みそを全く理解する事ができません。いろは坂配列もそういう目で見られているのは、なんとなく想像できます。(どうでもいいけど私がフルート吹けてピアノは出来ないのは、タイピングは好きなのに同時打鍵が出来ない事に通じてるんだろうな。。同時打鍵は和音)

 

飛鳥カナ配列もロマン派と思ってます。カナ文字連接に存在する数少ないルールである清濁関係をも崩して打鍵効率追求を目指すのは、一つのパラメータの追求に他のパラメータ (記憶負担) をまるで軽視するという、ロマン派の論理です。私は使ったことないので恐縮ですが、見聞によれば打鍵の楽さを徹底的に追求しすぎて他のところで敷居が高くなっている印象があります。NICOLA勢の中で飛鳥カナ配列があまり話題にならないことが傍証でしょう。

 

ロマン派において効率化とはあるパラメータを特化させるための名目でしかなく、しばしば他のパラメータが犠牲となるので総合力や汎用性は劣り、尖りがちです。コンセプトがはっきりしているからアイデンティティとはなるのですけれど、実際に効率上昇の恩恵を受けられる対象は限定的となります。

 

配列開発の目的をシビアに考えると、人生における生産性向上を掲げないといけないので、まぁなかなか。。

 

仕事量を字数で判断できるような仕事であればわかりやすいです。ライターや作家ですよね。ただ字数で仕事量を判断するケースでは分単位の速さではなく時間単位の楽さのほうが圧倒的に効率に結びつくというのは大岡さんのブログを読むと非常によく分かります。実際に自分も1時間以上ぶっ続けでタイピングしたらよくわかりました。

 

医者とか弁護士とかプログラマーとか、タイピングいっぱいしてそうな業種は他にもありそうですが、ちょっとよくわかりません。QWERTY極めればそれで済んでしまうのかもしれません。

たとえばプログラマーだとアルファベット縛りがあり、複数の行段配列を使い分けることが人類には難しいらしく配列変更すなわちQWERTYを捨てる覚悟という敷居が高い事情もありそうです。

先日も言いましたが無思考で延々と書き続ける仕事なんて実際にはあまりないから、結局思考時間で業務効率が縛られて、タイピングが速くなることによる効率上昇は微々たるものなのかもしれません。

 

タイピングし続けることによる体へのダメージが最も仕事効率を低下させている要因と思われるので、配列に真の効率を求めるならまず"楽さ"を求めるべきなのでしょう。速さは二の次、三の次と思われます。

つまり、配列界では楽さを追求しているのがガチ勢であり、速さを追求しているのがエンジョイ勢といえるのではないでしょうか。

これまでのタイピング界からの印象とは真逆に見えますね。でも速さの追求は趣味の短時間の世界で完結してしまうと考えると、こうなのでしょう。ゲームでのエンジョイガチ勢がタイピストの位置づけでしょうか。

  

 

1日1000字程度しかタイピングしない勢であればもはや新配列の対象ではなく、QWERTYでいいんじゃないかというような気もしますが。

  

ただ普通のサラリーマンでもタイピングがあまり上手くないせいで他の能力が高いにもかかわらずあまり活躍できてない人はいると思うんですけどね。たとえばメールがめんどくさいから電話する、というのがそうです。でも電話だと記録に残りにくいし、聞き取り間違えもあるし、そもそも席外していれば電話を受け取れないし、他の人が代わりにとって折り返しまた掛けますというのはそれこそ業務効率低下ですし。個人的にはメールのほうが本当にありがたいんですけど、数百字程度のタイピングですらままならない人が実際に多いということでしょう。よくある1~2枚の報告書なんかもコレ系ですね。QWERTYが打ちにくいのがいけないんだと言われれば反論できないから、数百字程度でもいいから楽に習得して速く打てる配列があればいいですね (先日のローマ字配列がそういう目的なのかも)。

 

いろは坂配列での効率増加は「よろしくお願い致します。」を1秒で打てる事によってテンションがあがる事くらいでしょうか。楽さについては、他の配列を私自身が1時間以上ぶっ続けで使ったことはなく、また他の人がいろは坂配列が疲れるというようなことも検証していないため、よくわかりません。いろは坂配列が不利なのは学習面であり、打鍵数少ないから意外と楽な配列だったりして、なんて望みもあります。

私は文字数が仕事成果の目安となるような"書く仕事"には従事していないわけですが、それでもタイピングスキルを仕事に活かしたく書かなくて良いとされることまで書くようになったので、そこはよかったですね。口頭で話せば良いことも、コミュ力低い私だと齟齬があると嫌だから、とりあえずメールを送っておいてそれを口頭説明の補助にしようとかの配慮が気軽にできる。タイピングが嫌いだとやらないと思う。枚数制限なしの報告書でタイピングめんどいから必要最小限の内容に留めよう、みたいなことも無くなり書きたいだけストレスなく書けるので良いですね。

  

いずれにせよ私はエンジョイ勢に属してしまうから、エンジョイ勢なりの自己正当化する論理を集めたほうがよさそうですね。。タイピングを好きになることで仕事や人生が楽しくなる、みたいな方向性をアピールしていくべきでしょうか。