いろは坂配列練習道場

~単打最多の最凶かな配列を10本指で調教しよう~

センターシフトvs両親指同時シフト

いろは坂配列やQWERTYが得意な私は立場として遠いのだけど、前の記事のとおりライティングに好まれる配列について興味が出てきたので、配列屋として自分の感覚を交えて標題を考察してみよう。

 

センターシフトといえば新JIS。でも新JISはJIS規格として廃止されているし今でも使用者は少なく、センターシフト自体も中指シフトの台頭により配列界隈からも一度は否定されている。

しかし近年、薙刀式の大岡さんによりセンターシフトの良さが掘り起こされ、実際に快速動画を上げられている。なので、今の感覚からするとセンターシフトといえば薙刀式だ。

もちろん他にも新しいセンターシフト配列はあると思うが、親指シフトや月配列に真っ向から挑戦しているという点で薙刀式はやはり存在感がある。

センターシフトだけでシフトは十分かというと3段配列ではそうではなく、新JISでは濁点後置シフト、薙刀式では文字領域同時押しを活用している。

 

両親指同時シフトといえばNICOLAである。小梅配列、蜂蜜小梅配列、雀配列といったより合理的な配列はあるのだけれど、新JISと異なりNICOLAは今でも現役で、特に作家層が広く使っているのが印象的だ。富士通の専用キーボードの販売はついこの間終了したが、今ではやまぶきやかえうちや自作キーボードがあるため、さほど影響はない (ハードに愛着あった人は多いが)。

センターシフトとは異なり、両親指シフトにより2つのシフト機構を応用できるので、文字領域にシフトを準備する必要がない。

 

一番簡単なカナ配列は何か?の定番解は新JISか親指シフトNICOLAのどっちかである。ここでセンターシフトvs両親指同時シフトが戦うわけだ。

(これらは小書きと半濁音が別置でシンプルではないから、新配列を引き合いに出せば新JIS系ならNew Stickney配列がより簡単そうに見えし、親指シフト系なら私の雀配列がより簡単だろう。)

 

QWERTYや純順次打鍵配列しか使わない人からしたらどっちも親指のシフトで大差ないように見えるけど、

実際使ってみると新JISとNICOLAでは全然使用感が異なる。

 

 

以下から私の主観が入るが、まず私はセンターシフトが苦手だ。

センターシフトは連続シフトである。なのでシフト文字を出すためには①シフトを押す②文字キーを押す③シフトを離すという3動作が必要である。これは私にとって単打3打分に相当する負担に感じる。先日も述べたが新JIS系の連続シフトは実質的には「断続シフト」がメインで、シフトを押したり離したりするタイミングが難しい。速く打てば打つほど繊細なシフトワークが必要となり、負担はどんどん重くなる。

また、こっちのほうが深刻なのだが私はどっちの親指を使えばいいのか常に分からなくなる。「自然に打ちやすいほう」の選択が無意識にできない。逆手で勝手に統一してもいいけれど、連続シフトで同手になる時はあるし、そもそも同手シフトが苦手なわけではないからそれを封印するのももったいない気がする。

 

 

私は意外と両親指同時シフトはできる。NICOLAの小書き半濁音別置は嫌だったから雀配列なるものを別途作り、検証はさぼり気味だが別に嫌いではない。先日同時押しできませんとか言ったけれど、それは注釈が必要だった。

文字領域同時押しは高速タイピングでリスクがある。速く打つと文字が化けるからあえてゆっくり打つというような、ブレーキの考えが必要となる。これはqwertyにもJISかなにもNICOLAにもなかった軸だ。指の能力が足りないから速く打てないのではなく、指の能力を封印しないと逆に速く打てないという点が小難しいし気を使う。

喋るように打とうとすると指が走りがちになる。純粋に筆記用具として一字一字しっかり書いていく感覚であれば問題にならないのだろうけど、言う感覚で打つとロールオーバーしてしまい同時押し判定されるという罠にかかる。

もちろんそういう事が少なくなるように同時押しに対応する単打同士の連接はマイナーになるように設計するのだろうけれど、事故が0になるわけではないし、常に警戒しなくてはいけない感覚はありそう。

 

親指シフトは安全設計である。親指自身には文字が割り振られてなく、また連続シフトは標準でOFFだから、高速で打つことにより意図しない挙動になることは無い。

連続シフトONにしたとしても、文字領域同時押しよりは事故が少ないだろう。そもそも親指が絡む運指は指が走りにくく、それはつまり速く打てないとしてデメリットとして扱われる事が多いけど、安全設計で気を使わないで済むという点で個人的にはプラスだ。

センターシフトとは異なり同時押しなので、感覚の問題ではあるが、シフト絡みの2打が実質的に1打の重みになりうる。とくにライティング中などでゆっくりタイピングしている時に効果が大きそうだ。

 

親指に2種類のシフトを仕込めるから、ふつうの3段配列なら文字領域にシフトはいらない。このシンプルさもなかなかに捨てがたい。

NICOLAには濁音化する清音を単打にする制約があってそれが足を引っ張っている印象があるけれど、小梅配列のようにややマイナーな清音を同手シフトにし対応する濁音を逆手シフトにすれば配列のシンプルさと運指の合理性を両立できるから、両親指同時シフトが悪いとはいえない。

  

大岡さんはセンターシフト文字は1.4打分の重さとおっしゃっており、実際に動画では流れるようなセンター連続シフトが繰り広げられており、さすがである。私には真似できそうにない (慣れの問題なのか・・?)。

一方で大岡さんは両親指シフトだと左右盲になり、同手と逆手の使い分けが煩わしく感じるそうだ。その感覚は逆に私にはあまりない。

 

たぶん、センターシフトが合う人種と、両親指同時シフトが合う人種がいるのだろう。

でも幸いなことにどっちかが苦手な事とどっちかが得意なことには相関がある気がするので、両方苦手なケースは稀なのではないかと思っている。

 

で、こっからが本題なのだけど、センターシフト代表の薙刀式と両親指同時シフト代表のNICOLAはどちらもプロの作家さんのお墨付きである。

おそらくライティングにおける優劣はシフト機構の差ではつけられず、実際慣れさえすればシフトについてはどちらでも良いと想像する。

 

一方で薙刀式が特徴とするのはプロの作家である大岡さんがご自身で設計したという点であり、文字領域の配列までもライティングに最適化されている点である。

これはプロの書き手でないと出来ないことだろう。一般人やキーボードマニアやタイピング好きの人だと薬指・小指をフルに使って合理的な運指を目指す傾向があり、実際そういう配列は多いし、いろは坂配列なんて典型だ。

薙刀式は文章作成に特化している点が凄い。人差し指と中指で日本語文章の骨格を作れ、大岡さんも仰っているように最も筆記用具に近いキーボード配列なのだろう。

 

ではNICOLAはどうかというと、いろんな作家さんがお使いになっている割に文字配列は謎らしい。文字頻度の分布見るだけで素人でも変なのはわかるし、詳しいことは大岡さんのブログに詳しい。

文字配列がアレなのに多くの作家さんが使い続けるということは、いかに両親指同時シフトが便利ということかと思い込んでしまう。

 

私は工学系の人間だから案の定いろいろな因子を切り分けて検証したくなる人間で、

4段が悪いのか、文字配置が悪いのか分からなかったからJISかなに代わるいろは坂配列を作った。

行段左右非分離が悪いのか、ローマ字が悪いのか、文字配置が悪いのか分からなかったからQWERTYに代わるとかげ配列を作った。

両親指同時シフトが悪いのか、小書き半濁音別置が悪いのか分からなかったからNICOLAに代わる雀配列を作った。

で、これらの経験からくるざっくりとした結論としては、悪い配列があったとしたらシフトではなくだいたい文字配列が悪い。配列には良し悪しを付けやすいが、シフト機構はそれぞれ一長一短で好みの問題かなという印象。

 

センターシフトと両親指同時シフトについても合う人とそうでない人でそれぞれ二分化されるが、標題にしておいてあれだが優劣をつける必要性はないのだろう。

 

今の私の疑問は以下のとおりである。

薙刀式の筆記用具としての感覚は文字配置から来るのか、シフト機構から来るのか。薙刀式のような感覚を他のシフト機構で体験できるのか?

親指シフトが悪いのはシフト機構なのか、文字配置なのか。多くの作家に好まれるのは文字配置の弱点を補うほどシフト機構が優秀だからではないか?

 

じゃあプロの作家さんが本気の親指シフトを設計するまで待とうか、というのもそうはいかず、

また残念ながらライティング経験がほぼ無い私には文章作成に最適化された配列を設計することはできない。

それならもうやるべきことは決まってますね。つづく。。