いろは坂配列練習道場

~単打最多の最凶かな配列を10本指で調教しよう~

局所最適化問題をサイクリングする

局所最適化、なににでも使えそうな言葉ですね。

局所の最適化に陥っていて全体の最適化がなされないということで、ネガティブなイメージで使われる印象があります。神の見えざる手が働いていない状態のことです。ただ局所同士の関係性が薄ければ全体として統一解を持つ必要も少ないでしょう。

極大値と最大値の違いを高校数学で学びますね。条件付き最適化問題です。条件付きというのは数学では区間に相当しますが、これを現実の人だったり組織を差す場合に局所最適化という言葉がよく使われている気がします。

配列論ですと、QWERTYにとってかわるデファクトスタンダードを真面目に考えようとなると全体最適化の問題ですが、個々人が目的に応じて好きなものを使うのがよいという議論では局所最適化の問題で、私はどちらかというと後者寄りです。

 

 

突然ですがサイクリングを考えてみましょう。

 

一番人気の自転車はママチャリです。安いし、みんな乗ってるし、無難ですね。

ただし重い・車輪が無駄に大きい・サドルが低くペダルに力を入れにくい・錆びやすい・子どもが乗れない・ギアチェンジとブレーキを同時に行いにくいなどのデメリットがあります。

 

サイクリングに初めて興味を持つと、まずクロスバイクに手を出すことが多いです。ママチャリからカゴや泥除けをとっぱらって軽量化し、フレームをアルミ製にして軽量化し錆びにくくして、高級なタイヤにして空気圧上げて減速しにくくし、ギアの段数を増やしたらクロスバイクの出来上がりです。いってしまえばクロスバイクはママチャリの単純強化版です。

 

クロスバイクを手に入れサイクリングをある程度こなしたあとにありがちなのは、ロードバイクに興味をもつことです。先輩たちが煽るのもよくないかもしれません。ロードバイククロスバイクよりさらに軽量で洗練された部品を採用しています。数値性能的には何もかもクロスバイクを凌駕すると思います。特徴的なのは前傾姿勢を強要するドロップハンドルと空を切るような細いタイヤで、これにより空気抵抗を格段に減らせます。抵抗力はママチャリのゆっくりサイクリングではあまり実感しませんが、ロードの時速30km以上くらいで突如として実感するようになり、下り坂なのに漕がないと減速したりします。

  

でもいいところだらけのロードバイク、欠点も多いんですよね。もともと競技用に開発されたものであり、趣味や日常で使うことは大して考慮されていないのだから当然です。

まず制動距離が長いから公道では危険です。これは速いからというだけではなく、ロードバイクでブレーキを思い切りかけると自転車は止まってくれますが自分が吹っ飛びます。自転車は軽いからすぐ止まるのに自身が前傾姿勢であって、また自転車は10kg以下なのにサドル高くして乗っているから重心的にも不安定で、当然の結果です。なので急ブレーキはそうそう使えるものではないです。そもそもドロップハンドルのブレーキバーは力が入れにくいです、

次には"ケツが痛い"ことです。これは軽量化の追求のためサドルにクッションがほぼなく硬く、またサスペンションなど余計な部品は当然ありませんから地面からの振動をケツに直で食らい続けます。その名のとおり"ロード"だけしか走らないなら良いですが、公道のアスファルトは塗装状態が悪い箇所も多く、ほんのちょっとの段差でもめちゃくちゃ振動が伝わってきます。1週間ぐらい我慢して乗り続けると慣れるというか痛みを感じなくなりますが、また少し自転車から離れてから久々に乗るとケツがリセットされています。

前傾姿勢も当然デメリットがありますね。慣れれば大丈夫とはいえど、快適とは言いづらいです。またサイクリングで景色を楽しむ、ということも前傾ではあまり出来なくなります。

他にもタイヤ・チューブが軽量化のせいで薄いのでパンクしやすいとか、ハンドルが狭く肩甲骨を開きにくく呼吸しづらいとかありますね。

 

というわけで、数値性能がいくら良い道具があっても、実際にそれを日常的に使い続けるのが大変ということでロードバイクはいい例ですね。

 

自転車は他にもあります。

まずミニベロ。折りたたみ自転車と言ったほうが分かりやすいかもですが、折りたためる必要はかならずしもなく、とにかく車輪が小さい自転車です。そもそもママチャリで車輪が大きい理由はよくわかりません。なぜなら時速25km以下くらいでは自転車の速度と車輪の大きさは大して関係ないからで、関係あるのは時速30kmを超えるような競技の場での転がり抵抗と直進安定性のみです。車輪が大きいから一漕ぎでたくさん進むというのはほぼ間違いで、実際にはギアの歯数とのバランスで決まります。車輪が小さいなら歯数を減らせばいいだけですね。それどころかミニベロは車輪が小さく必要な回転のエネルギーが少ないから加速しやすく、加減速が必要な街中のサイクリングと相性がよくて小回りがきくと言われます。車輪が小さいから素材が安くても必然と軽くなるのもいいですね。ふつうに通勤や買い物に行くぶんにはママチャリではなくミニベロが最適解だと思います。

 

次に電動アシスト自転車。これは実質的にママチャリに継ぐスタンダードになっているでしょう。特に坂道は本当に強いようですね。欠点は重すぎること。また充電式でバッテリー切れのリスクがあるため遠出があまりできないことです。バッテリー切れたらただの重い自転車となり、それはもう悲惨そうです。また、アシストといえど原動付き自転車とは一線を画さないといけないので、法令により時速24km以上ではアシストされないように規定されています。なので高速走行は実質的に無理です。短距離を遅く・楽に走るために最適化されたツールといえるでしょう。

 

マウンテンバイクってやつはよく知りませんが山道走るならいいのでは。。もしくは車道から歩道の段差に思いっきり乗り上げることができるとか。。?サスペンションがついてるようなので、乗り心地はよさそうですね。

 

どのタイプの自転車に乗ると良いのかは各々の要求という空間で局所最適化すればよいでしょう。自転車によってメリットデメリットがはっきり分かっているため沼要素が少なく、ママチャリが最速だとアピールする物知らずだとか、ロードバイクを日常使いするべきだといった最速特化過激派もまず見当たらないので平和そうです。

はっきりいってママチャリが最も合理的というケースは実際は無い気がしますが、ふつうに使うぶんに特に困ることもないでしょうし、自転車のことを勉強するのもめんどうなのでとりあえずデファクトに従うというのは、人間活動としてこれはこれで合理的ですね。安いし。

 

 

ここでキーボードに戻って局所最適化問題を考えます。

 

全体最適化の結果は思考停止で制約のない状態で最も人類が速く打てるポテンシャルがある配列になります。区間が(-∞, +∞)での最大値問題ですね。RTCの実績的にはQWERTYですね。タイプウェル的にはJISかなですね。机上の理論によるといろは坂が最速に最も近いと思いますが、キー数と打鍵パターンが多いからなんともいえないかも。

現実にはさまざまな制約があり、人によって住んでる区間というか区域が違います。キー数は30以内でないと嫌だとか、小指は使いたくないだとか、キーボードは好きだけどタイピングは好きじゃないとか、楽さを犠牲にしてまで速く打ちたいわけじゃないとか、幼少期から特訓してるわけじゃないから指が動かないだとか、思考しながらという条件下でもっとも速い配列が欲しいだとか、そもそも最適化問題を考えることすら嫌だとか、速くなくとも打ってて楽しければいいだとか、長文だけor短文だけ打てればいいだとか、あるタイピングゲームで輝ければそれで良いとか、人と違ければそれだけで満足だとか。

 

QWERTYはママチャリ的なポジションかなぁ、とも思いつつ、でも実際RTCやタイパーの実績もあるしなぁ。ということで、行段左右非分離という枠組みでロードバイク寄りのポジションかなと思いました。とにかくダダダダダダと高速で打ち続けるのが得意な配列。ローマ字入力はパターンが少ないから初見の道にも強い。逆にゆっくりのときはあまり恩恵はなく、QWERTYのようにホムポ軽視していればゆっくりのほうがかえって大変。またロードではなく山道や砂利道になったらまず使えなかったり、車輪が大きくら曲がれないからくねくね道も無理ということも、日常使いや作文には向いてないらしいことと対応してますね。とはいえママチャリしか知らない人がロードバイクを批判することもそれはなんかおかしいので、単純に住んでる世界・必要とされる世界が違うと捉えればよさそう。QWERTYはたしかに微妙だけど、今後優れた行段左右非分離が登場することを待ちましょう。

  

ママチャリは親指シフトNICOLAでしょう。速く走れないけどとりあえず無難で、知識がなくてもこれを選べば仲間はたくさんいるし大損はしないというのがまさにそう。でもキーボードやタイピングに拘りがある人は他の配列に目を向けるはず。実際にNICOLA界隈の人はそういうのに無頓着で、みんな使ってるだとか、有名人がチョイスしてたとか、同時打鍵は正義だとかで妄信的にNICOLAを崇拝している人が多く、客観的な技術的事柄には興味なさそうな印象。このブログとかにはまず辿り着かなそう()

 

ミニベロは薙刀式かなと思いました。大人でも子供でも乗れる。アルペジオ重視でそこそこ速い。日常を重視しており競技用では一切ない。小回りが効く。合理性という枠組みの中でもっともコンパクト。新JISを含めてもよいかもしれない。ふつうのミニベロで長距離は微妙だけど、ミニベロロードという高級品もあり、こちらなら長距離もいけるようで、車輪が小さいからロードバイクよりも軽量化できるので長距離の楽さは一番かもですね。

 

マウンテンバイクは新下駄配列や飛鳥カナ配列でしょうか。清濁別置の同時打鍵系かな配列がここな気がします。配列面の見た目は複雑でありファーストチョイスとはなりにくく、また単純な最速の追求には同時打鍵は不利だと思うけれど、清濁別置に慣れれば恩恵を受けられるので速い。また、凸凹道や山道という条件下であればどんな配列よりも速いかもしれない。ということで清濁別置同時打鍵カナ配列の創作文動画をはやく誰か出してくださいお願いします。

  

電動アシスト自転車フリック入力かな。近年のハイテク文化の賜物。特別速くはないが楽で、おじいちゃんおばあちゃんでも乗れて、予測変換というアシストを使っているので。ただアシストがなければ1~2本指の行段配列でしかなく、他の配列より効率は悪い。

 

4段カナ配列はクロスバイクのポジション。配列で最速を求める人はまずJISかなを使う。でも中途半端なので結果的に違和感を覚える人は多く、結局別の手法に逃げがちで定着する人が少ないイメージ。

いろは坂配列までクロスバイクにしていいのかは微妙。もっと尖っていて人口が少ないものがいい。ロードバイクでもっと車輪を大きくし、タイヤ幅も広くして砂利道も走れるようにしたイメージかもしれない。バランス感覚的には微妙だが、とにかく慣れてハマれば強い。 

 

 

親指シフトが爆速だとか、フリックで十分でキーボードは要らないだとか、タイパー打鍵技術は意味無いだとかは全部それぞれの局所最適化問題上での見解であり、ちょっと隣の区域に移動するだけで最適解が変わります。まぁ隣は既に異世界かもしれないけれど。

このブログでは自分の足が届く範囲でいろいろな区間からの景色を見てきたつもりです。じゃあ本心はどこにあるかというとタイパー打鍵の有用性を示すロジックを増やしたいなぁというのがあり、実際にいろは坂配列を仕事や日常で使えて間違いなくQOLは向上したのですが、トップスピードとの関係性がどうも説明しづらくちょっとこの区間は茨の道と思っているので、タイピングゲームたのしい!くらいに留めることにします。

 

自転車なみの棲み分けが配列でもなされればすっきりするなぁと思ってましたが、書いてみると意外と既に整理されているような気もしました。個々人によって最適解が違うバランス問題の事例として自転車は意外と参考になりましたね。