新かな配列練習道場

~単打最多の最凶かな配列を10本指で調教しよう~

順次打鍵配列では等速打鍵できない

近年の同時打鍵カナ配列、たとえば蜂蜜小梅配列、新下駄配列、かわせみ配列、薙刀式では1モーラ1動作が徹底されている。

たぶん開発者様はみんな最初からそのつもりだったのかもしれないが、私は先日初めて認識した事があって、それは1モーラ1動作は気持ちがいいだけではなく、「等速で」打てる事がメリットであるということだ。

 

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menmentsu.hateblo.jp

 

プロの物書きになるには常に考えながら常にタイピングする「連続的思考タイピング」と私が呼んでる状態に入ることが重要とわかったので、じゃあこれを鍛えるにはどうすればいいかというと、私レベルでも分かるのはタイピングをとにかく安定させること。少なくとも、頭と手の連携を密にするには配列には等速タイピングがしやすい事が望まれると思う (打鍵が等速になるのは目的ではなく結果ではある)。

 

打ちやすいフレーズからって指が加速すると脳を振り切る事になり、加速した先で脳が追いつくのを待たないと行けない。もっと言うと創作打鍵というのは指と脳の二人三脚であり、指だけが加速するのは転倒するようなものかもしれない。もちろん脚力も必要なのだけど、それ以上に指の脳の相性が合わないといけないのだろう。二人三脚ではいくら特訓しても二人の体格や足の長さが違えば効率化は無理で、これは脳や指の特性に応じて最適配列も変わる喩えである。

 

大岡さんも「一拍置きたいところは、運指でも間を置くべきだ。」と仰ってて、そういうことかぁと今更 (部分的かもしれないが) 分かった気がする。

oookaworks.seesaa.net

  

モーラ重視の同時打鍵配列は安定した等速タイピングに有利、というのは言われてみれば当たり前なのだけど、どの配列でもあまりこういう事は語られず「発音と打鍵が一致する事」のみが強調されているように見えた。それは順次打鍵配列はそもそもダメという扱いだったのだろう。ただし一部の人は違和感なく速く打てるようで(QWERTYでも普通に打てる人はかなりいる)そもそも人によってタイピングのスタイルやリズムの違いがあるといった議論が並行でされなかったからだと思う。

そもそも同時打鍵と順次打鍵を両方扱える人は珍しい (タイパークラスでは2名しか知らない)。私はタイピング得意にもかかわらず同時打鍵は不思議なくらい脳が受け付けない。親指シフト界でも挫折してローマ字に戻る人がちらちらいるようだ。この辺について新たな説明ができないかなぁと思ってる。

  

 

順次打鍵の特性について語っておきます。典型的な順次打鍵配列では2打鍵1モーラが頻出です。違和感なくQWERTYを扱うには、たとえばtaipinguは

ta/i/pi/n/gu

と打ちます。スラッシュ以外では一時も休んではいけません。音韻を重視してtai/pin/guと打つ人も多そうです。これを無意識にできるかどうかが使用者のQWERTYとの相性を決めるでしょう。もしこれを等速に

t/a/i/p/i/n/g/u

と打ってしまうと次の二点で気持ち悪いです。

一点目は子音を打ってから母音が打たれるまでは文字が確定してない事です。taを着目するとこの場合の文字認識はそのままt→aとなりますし、aが打たれるまで画面上にtと表示されるのが目に入ります。日本語入力しているのにアルファベットが表示されるのは気持ち悪いですし、その上この打ち方では「た」をt+aに完全にローマ字分解することが求められます。一方で、すばやく打てば画面上にtが表示された事にはほとんど気づきませんし、「た」はt+aではなくtaであるという認識になります。換言すると2打鍵が1動作とみなせるという事で、脳内ローマ字変換をそこまで意識せずtはタ行を指定するキー、aはア段を指定するキーという程度の認識です。

二点目は例えばtaのような片手で高速で打てる連接であえて間をおいている事です。速く打てるのにわざわざブレーキをかけるのは配列の使い方として非合理ですし、そもそも速く打つつもりがないなら配列の別のパラメーター (ホームポジション率・少キー・交互打鍵など) を重視するべきです。これついては例えば母音片寄せの新配列を使えば部分的に解消されますが、①のデメリットは目立ってしまうでしょう。

タイパー的な特訓をすると母音→子音の間でも休まずに打てるようになるので、結果的に等速に近くはなります。ただこれは全力で打つという前提であり、ゆっくり打とうとするとやはり加減速が現れます。

 

月配列のような順次打鍵カナ配列でも同じであり、前置シフトを押してから確定するまでは一瞬で打てたほうがよいのでしょう。JISかなや新JISの濁点後置シフトでは打ったのにカナが現れない瞬間が無いので前置シフトほどの違和感はないですが、それでも等速リズムを崩す要因にはなるでしょう。

つまり、順次打鍵配列というのは使用者の指の加減速を前提に設計された配列といえます。指と文字のどちらかを等速にしたらもう片方は変速的になります。

 

順次打鍵でなるべく1モーラ1打鍵にしようとすると単打を増やすことになり、単打キーが57あるいろは坂配列のようになります。逆にいえば、これくらいの事をしなければ順次打鍵配列で等速打鍵設計にはできないと考えられます。ただし4段配列では指が各キーに移動する時間がそれなりにかかり、楽に等速で打てるとは限りません (いろは坂配列も無理して等速で打とうとするより1文節1呼吸のようなイメージで間欠的に打つほうが向いていると考えている)。

 

 

この記事は間欠的思考タイピングで書いたがかなり時間がかかってしまった。2000字ちょいなのに2時間かかった気がする。マラソンライティングをした日であれば書きながら考えられる時間が増えてブログ程度はすらすらと書ける事を既に実感してるが、昨日はサボったし今は寝起きであり、連続的思考タイピングの感覚にならない。調子がいい時の2~3倍は時間かかってる。今までパソコンしてるときやブログ書くときは常に音楽聴きながらであったが、連続的思考タイピングと極めて相性悪いように思えるのも発見だ。

今までもすらすらと文書作れる人はすごいなぁと思ってきたが、頭が良いだけだろうとか文系脳の人なんだろうという理由で片付けてきた。でも実はちょっとした思考テクニックの差だったのかもしれない。もちろん頭の良し悪しも重要だろうが、その差が現れるのは安定して1000字/10分で執筆できるようになったその先だと思う。