いろは坂配列練習道場

~単打最多の最凶かな配列を10本指で調教しよう~

QWERTYの最大の罪

トップスピードがとにかく速いことである。

 

これが、ちょっとタイピングができるようになった人が自分タイピングが上手いと錯覚して、QWERTYから抜けられなくなる最大の罠となっている。

 

QWERTYはとりあえず非合理で性能が低いということにしておくが、それはボトムスピードに関係する話である。たしかにあらゆる言葉をすらすらとQWERTYで書けるのは、タイパーの、しかも上位層に限るかもしれない。

それに対し、トップスピードって本当に簡単に上がってしまう。自分が好きな単語一つでも高速で打てれば、それがトップスピードなのだから。

さすがに単語1つは言い過ぎかもしれないが、QWERTYでは不思議なことに、複数の文節あるいは文単位で、打ちやすいまとまりに遭遇する事がままある。コピー打鍵の世界ならe-typingの「元気が出ることば」シリーズや、打鍵トレーナーの「さくさくタイピング」が有名だ。日常生活のなかでも、QWERTYの初心者特有にありがちの、やたら打鍵音がうるさい感じというか、不安定な感じというか、打てる部分とそうでない部分の差が激しすぎる様子は垣間見れるところだ。

 

ローマ字配列では原理的に打鍵パターンが少ないから、ある単語を高速打てるようになったら、知らずに別の単語も打てるようになり、トップスピードを出せる言葉が知らずに広がっていく。たとえば「NARE」と「MATE」は全然違う言葉だが、QWERTYタイピング的には大体同じ指の動かし方で、片方打てればもう片方も打てるよね。ある単語を打てるようになれば、韻を踏んだ他の言葉であれば、だいたい打てる?

究極的に打鍵パターンを少ないのが、ほとんど全部交互打鍵にしたローマ字行段左右分離系。でも、交互打鍵って並の人間では決して速く打てるパターンではない。また、パターン数についても逆に少なすぎるんだよね。交互打鍵って全部、乱暴にいうと似たようなもので、片手だったら人→中アルペジオと人→薬アルペジオだったり、中→人アルペジオは全然違う打鍵パターンだし、脳がそう認識してると思うけど(多分)、交互打鍵ってどの指使おうが、脳的には左右交互の連携をする事で精一杯で指の差についてまでは把握しきれてないイメージ。なにがいいたいかというと、似たような打鍵パターンが多い配列、すなわち数学的な対称性が高すぎる配列だと脳が混乱して、QWERTYみたいに「この単語はこの指の動き!」ってのが無いから、トップスピードが鍛えられにくい。

 

QWERTYの良さなんてものを伝えようとするつもりは全くないが、配列の最適化というのはクソ運指を解消してボトムスピードを上げる事が基本になっているのに、実感しやすいのは圧倒的にトップスピードのほうだから、ボトムネック解消したとしてもQWERTY支持者に対しての広告効果は微妙なのだろう。

 

しかも、配列界において運指のボトムネックを減らす為に編み出された叡智の数々、たとえば交互打鍵、同時打鍵、連続シフトなどを重視した新配列は、QWERTY視点ではトップスピードが犠牲となっていて、ある程度QWERTYを打てる人がこれらの系統の配列に乗り換えるには、「そんなにタイピング速くてもしょうがない」とか、「速く打てたところで指が疲れるだけ」など、トップスピードの追求に対して一定の見切りをつける覚悟が必要となる。

 

QWERTYの速さなんていっても、ふつうは秒単位の話で、文章作成においてはすごくどうでも良いことなのだけど、でもアドレナリンが出るのはその秒単位の話なんだよね。

 

F1の例えでいえば、最初に乗る車(教習車)がF1だったとしよう。10人に1人くらいは意外とちゃんと乗れちゃう人がいたりするかもしれない(タイパー)。10人に6人くらいはぎこちないながらも一応乗れて、加速がよかったり直線だったら飛ばせちゃうみたいな理由で普通車ではなく結局F1を乗り続ける(一般QWERTY使い)。残り3人はF1では免許がとれず、車自体がクソだという認識になって、車には乗らず電車と自転車だけで何とかする(フリック、手書き)。そして結局、誰も普通車に乗らない。

 

教習車が普通車だったら、少なくとも10人中9人は免許がとれるんだろうから、そのほうが良いに決まっているんだけど、上の世界線においてF1を普通車に置き換えられるかというと、なかなかに難しそう。