中指・薬指を開くホームポジションのすすめ[タイピング]
いろは坂配列は中指・薬指を開いたホームポジションを採用している。
標準のカナ入力は4段配列ですごく使いにくい。せっかく標準運指をマスターしても普通のホムポでは指が最上段に届かないし、右小指の担当範囲が広すぎる。
そんな中このようなホムポが生まれた。指が届かないなら最初から手を広げておけば良いじゃない!これよりJISキーボードのかなりの領域に指がすぐ届くようになり、4段配列のマスターになれる。
ただし標準のカナ入力ではこういうホムポは想定外であり、変な事すると余計に打ちにくくなってしまうかもしれないので、配列を合理化しいろは坂配列が生まれた。
適用範囲はカナ入力だけではない。たとえば私は英数字の配列をこのようにしている。
アルファベットだけなら3段のコンパクトキーボードで十分であるが、数字・記号類もよく使うとなるとこのホームポジションは強力だ。プログラマーはもちろんだし、そうでなくとも例えばエクセルをちょっと触っただけでほとんどの記号は出番あると思う。
このホームポジションの3つの利点を紹介しよう。
①指の守備範囲の拡大
手を広げることで今まで遠すぎて使い道がなかったキー達がすぐ届くようになる (ファンクションキーやカーソルキーはさておき)。こちらをご覧あれ。
水色はホームポジションから隣のキーである。黄色は2つ隣、灰色は3つ隣以降を表している。このように9割以上のキーはホームポジション1隣接以内であり、楽にたくさんのキーを扱えるようになる。
近年の自作キーボード界隈の潮流のような、なるべく少ないキーのキーボードに適応するというのもかっこよいと思うのだけど、たくさんのキー数を扱える人間を目指すのも十分かっこいいと思う。慣れれば単打に敵う文字入力はありません。
②扇形に広がる運指
各指の担当範囲を強調するとこうなる。
各指の領域は下段から上にいくにつれ扇形に広がっている。
指を曲げていると狭い領域でしか動けないが、指を伸ばしていれば広い領域を動ける。グーからパーにすれば指先の距離が広がるのはすぐわかるだろう。したがって指を伸ばして打つ領域は指間隔も自然に空くようにするのが合理的だ。
指間隔を開けるついでに担当キーも増やせる。たとえば最上段では中指・薬指に2キーずつ担当させられるので一石二鳥だ。
通常ホムポでは中指と薬指は強制的に曲げられるので、せっかく指自体は長いのに縮こまって狭い領域でしか動けないからもったいない。
キー配置を物理的に扇形に配置するのが最近のエルゴノミクスキーボードや自作キーボード界隈の流行の一部だが、いろは坂配列は物理に頼らずともJISキーボードで扇形運指を実現する。
③非合理な左上がりの解消
JISキーボードはたいして意味もなく左上がりであり、意味不明だ!手首が痛い!タイプライター時代の負の遺産!というのはよくある感想で自作キーボード界隈の原動力の一つだろう。
自作キーボードももちろん良いのだが、JISキーボードでも中指・薬指をあけるだけでこれがほとんど解消される。上の図でもだいたいわかるが、ちゃんと図示すると次のようになる。
赤矢印はいろは坂配列での左上がり、黒矢印は普通のホームポジションでの左上がりだ。明らかに捻れが緩やかになっている。
完全な垂直ではないが、下段から最上段にかけてのズレはたったの1/4キー分である。この程度なら手首の疲れも感じにくいだろう。通常ホムポなら5/4キー分もずれる。
(人間は左右の判断を瞬時に出来ない生き物なので、完全左右対称だと配列を左右で混同するといういわゆるミラー現象が起こりやすいと考えていて、さらに4段配列では対称性の高さが仇になると予想しており (4段格子配列だと迷子になりそう、格子状の街と同じ)、少し左上がり程度がちょうどよいと思ってる。)
以上が中指・薬指を開くホームポジションの利点である。
現状ではいろは坂配列しかこのホムポを採用していない。でも可能な限りキー数を増やして適応する、というのは極めてシンプルな発想だと思う。4段はムリというのはよく聞くが、4段が悪いという前に4段配列を3段と同じホムポで試す事が悪いと思う。
本当はいろは坂配列に適したキーボードを自作したいのだけど、どうもJISキーボードがかなり理想に近いようだ。例えば格子配列にすると扇形に広がる運指が使えなくなり、また下段で中指・薬指に計3キー以上担当させる事になり辛い。結果的にJISキーボードでエンターを2つに割って全体を1u統一するくらいしかアレンジの幅がなく、それだけだと標準から逸脱するデメリットのほうが大きい。
ただしそもそも19mmのキーピッチのキーボードは日本人には大きめなので17mmくらいのがあればよい。自作キーボードでピッチ統一のコンパクトJISキーボードが現れる事を期待。。(何故市販にないんだ